マシニングセンターの段取り

マシニングセンターによる加工において、実際に最も時間を費やしているのは「切削」ではなく「段取り」です。段取りとは、製品を加工機に正確に取り付け、工具やプログラムを準備し、加工を開始できる状態にする一連の作業を指します。加工そのものは数分から数十分で終わる場合でも、段取りには数十分から数時間かかることも珍しくありません。つまり、段取り効率こそがマシニングセンターの稼働率を大きく左右する要因なのです。
目次
段取りが抱える課題
通常のマシニングセンターでは、段取り替えのたびに部品をチャッキングし直し、基準出しを行う必要があります。この作業には時間がかかるだけでなく、複雑になればなるほどヒューマンエラーのリスクも増大します。その結果、精度への影響や不具合の要因となることもあり、段取り作業は効率性と品質の両面で大きな課題を抱えています。
多軸加工機による工程集約
こうした課題を解決する有効な手段が多軸加工機の活用です。多軸機では、一度のチャッキングで複数面を連続して加工できるため、段取り替えの回数を大幅に削減可能です。これにより、精度の安定化と機械稼働率の最大化を同時に実現。ONIプレシジョンでは、従来は複数工程に分けていた作業を多軸機で一括処理することで、段取り時間を削減し、生産性を大幅に向上させています。
治工具改善による効率化
段取り効率化には、治工具の工夫も欠かせません。ONIプレシジョンでは専用治具やモジュール型治具を導入し、段取りを繰り返し標準化できる体制を整えています。これにより、複数ロットやリピート品であっても迅速に加工へ移行でき、段取り時間を最小限に抑えることが可能です。特に多品種少量生産が中心の当社にとって、こうした治工具改善の積み重ねが効率向上に直結しています。
競争力を決める段取り効率
段取りは一見すると「付帯作業」に思われがちですが、実際には加工時間を上回る労力がかかる重要工程です。ここをいかに効率化できるかが、生産性と競争力を左右します。ONIプレシジョンは、多軸機の活用と治工具改善を組み合わせることで段取り時間を短縮し、機械をより長く稼働させる体制を徹底的に追求しています。
まとめ
こうした取り組みによって、納期短縮・コスト削減・品質安定のすべてを実現し、お客様に安心して任せていただける生産体制を築いています。段取り効率化こそが生産性向上の最前線であり、ONIプレシジョンが日々挑戦を続ける最大の工夫の領域です。