昔懐かしの部品加工

ものづくりの歴史は、旋盤・フライス盤・ボール盤といった汎用機械から始まりました。作業者が自らハンドルを回し、切削音や振動を頼りに部品を一つひとつ仕上げていく――それはまさに“職人技”の世界でした。加工条件を数字ではなく感覚で捉え、道具と対話しながら形を生み出すこの時代の経験は、技術者にとって大きな学びの場となりました。
目次
NC機械の登場と生産革命
現在ではNC旋盤やマシニングセンターなど、NCプログラムで自動制御される機械が主流となっています。スピード・精度・再現性のすべてに優れるNC機械は、量産やリピート品で圧倒的な効率を発揮し、わずか数分で複雑な加工を安定して実現します。この進化はものづくりに革命をもたらし、ONIプレシジョンでもNC機械を主力とすることで、高品質な製品を安定的に供給できる体制を整えています。
汎用機だからこそ得られる感覚的学び
しかし、NC機械の普及によって汎用機が不要になったわけではありません。むしろ、汎用機でしか得られない価値があります。たとえば、切削音を聞き分けて工具の状態を判断することや、振動を体で感じ取りながら送り速度や切り込み量を調整すること。これらはNC機械では身につきにくい「感覚的な経験」であり、加工者の技術的な引き出しを広げる貴重な学びです。
真の技術者を育てるプロセス
現代の現場では「機械任せ」「条件表通り」というスタイルが主流です。しかし、それだけでは真の意味での加工技術者=マスターにはなれません。プログラムが導く最適解を理解するためにも、まずは人が感覚で条件を探る経験が不可欠です。ONIプレシジョンでは、若い技術者がまず汎用機を扱い、切削音・振動・切り屑の状態を五感で学ぶことから始めます。そのうえでNC機械に進むことで、感覚と理論を両立させた加工技術を習得できるのです。
昔の学びを今に活かす姿勢
汎用機械は今では懐かしい存在と見られることもあります。しかし、その価値は失われていません。むしろ「昔の学びを今に活かす」姿勢こそが、ONIプレシジョンの精度・品質・再現性を支える基盤となっています。汎用機で培った感覚を土台に、NC機械で理論を活かす。この二つの融合が、本物の加工技術を生み出しているのです。